法務デューデリジェンスレポートにおいては、一般に①会社組織、②株式関係、③役員・従業員関係、④資産、⑤契約関係、⑥保険関係、⑦許認可関係、⑧紛争・訴訟関係といった項目に整理して検討を行います。
そのうち「会社組織」のパートでは、登記、定款、そして株主総会議事録・取締役会議事録等の議事録類の確認が中心的な作業となります。
議事録の検討は形式的なチェックにとどまりません。対象会社における重要な行為が適法・有効に行われているかを裏付ける基礎資料であり、M&A後のリスクの有無を左右する重要なポイントです。
1. 必要な決議を経ているか
まず確認すべきは、対象会社の各行為について、法令又は定款・社内規程上要求される決議が適切に行われているかという点です。
例えば、取締役会設置会社においては、重要な財産の処分や多額の借財など、会社法362条4項各号に掲げる事項について取締役会決議が必要となります。
これらの行為が取締役会決議を経ずに実行されている場合、当該行為の有効性に疑義が生じ、後日問題になる可能性があります。
したがって、特に過去の資金調達や不動産売却等については、議事録で裏付けが取れるかを確認することが重要です。
2. 適切な時期に開催されているか
次に、会議が法令上求められる頻度・時期に開催されているかも重要な点です。
例えば、取締役会設置会社では、取締役は3か月に1回以上、自己の職務執行状況を取締役会に報告しなければならないとされています(会社法363条2項)。かかる規定の存在から、実務上は、少なくとも3か月に1回以上の取締役会開催が求められていると解されています。
長期間にわたり取締役会が開催されていない場合、ガバナンス体制そのものに問題がある可能性があります。
3. 開催方法・決議方法が適切か
さらに、会議の開催方法や決議方法が適法であるかという点も重要です。
例えば、特別利害関係を有する取締役が当該議案の決議に参加していないか、議決権を有しない者が議決権を行使していないかといった点を確認します。
子会社が保有する親会社株式について議決権が行使されている場合などは、会社法上の問題が生じ得ます(会社法第308条1項本文括弧書)。
また、書面決議(みなし決議)(会社法第319条1項)が行われている場合には、その要件を充足しているか、全員同意書面が適切に保存されているかも確認すべきポイントです。
4. まとめ
株主総会議事録・取締役会議事録は、単なる形式的な書類ではなく、対象会社の意思決定そのものです。
法務デューデリジェンスにおいては、「決議が存在するか」だけでなく、「適法に、適切なタイミングで、適切な方法でなされたか」という観点から多面的に検証することが、M&A後のリスク低減につながります。
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